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case study interior #03 西船橋、歴史を語る柱と暮らす

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賃貸って、何かと制約が多い印象がありますよね。
でも、そんな制約はなんのその、とてもおしゃれに楽しく暮らしている人たちがいるんです。
「case study interior」はそんな達人から、賃貸でも楽しく暮らすコツを学ぶ連載です。

今回ご紹介するのは、西船橋のリノベーション物件にお住まいのとあるご夫婦の暮らし方。
お部屋の決め手から、リノベーションに合わせた家具の選び方まで、
暮らしのコツを聞いてきました。

西船橋、歴史を語る柱と暮らす

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【入居者プロフィール】
Fさんご夫婦
旦那さん:建築関係の編集・執筆
奥さん:建築設計会社
お家賃:ヒミツ

決め手1:土地の歴史、建物の歴史

こちらに引っ越してきたのは、2年前の初夏。
それまではお互い実家暮らしで、結婚を機に初めての1人ならぬ2人暮らしに向けた
お部屋探しが始まったそう。

ご夫妻の仕事は、旦那さんが建築関係の編集や執筆、奥さんが設計者。
それだけでなんともストイックな感じがしますが、
幸い早い段階でこのお部屋に出会うことができたそうです。
うーん、不動産屋もほっとしたに違いない。

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少し濃く塗装をかけた無垢のフローリングが気持ち良い。

しかし、お部屋を選んだポイントを聞くと、すごい。

まず、旦那さんが気に入ったのは、この土地の歴史。。

もともと船橋あたりは、古くから人の住んでいた土地で、
旧石器時代、縄文、弥生、古墳時代と遺跡が発見されている場所です。
お部屋があるのは、古墳時代の遺跡が発見されている場所で、
その後、漁師町や宿場町として栄えたそうです。

要するに古くから人々の営みがあった「良い土地」ということなんです。
地震があってから、こういう土地は注目されていますよね。

この建物にも歴史があります。

確かにリノベーション物件なので、歴史があるのは当然なんですが、
お話をうかがうと、けっこうビックリしました。

実はこの建物、積水ハウスのBFA型という、
後々量産されるアパートの初期モデルともいうべきものだそうです。
ご存知ですか? BFA型ですよ!! 普通は知りませんよね!!

要するに、近代以降の住宅供給を考える上で貴重な存在なんだそうです。
これが、丸ごとリノベーションされて見事に蘇り、ご主人の心を掴んだのです。

決め手2:気配りのキッチン

一方、奥様が気に入ったのはキッチン
一枚の厚い木の板、深くて広いシンク。
収納を自分たちでプラスする楽しみがある、シンプルさと使い勝手の良さが気に入ったそう。

それから、お部屋にうかがった際に気づいたことをひとつ。
お茶を入れてもらっている時なんですが、お湯を沸かした後の動作がきれいだなーと思いました。

それは、火を止めてガスの元栓を閉める動作。
キッチン天板のすぐ下、ほとんど火をつけるツマミのすぐ下に元栓があって、
動作がスムーズなんです。
普通はガス台の奥とか、コンロの壁際にあったりしますよね。
そういう意味でも、いいキッチンだなーと思いました。

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天板のすぐ下にガスの元栓があって、コンロを切るとその手で元栓も閉められる。

リノベーションプランの工夫:小さなゆとりのスペースを設ける

ご夫婦が特に気に入っている場所を教えてくれました。
リノベーションの図面でその場所は、「pantry or hobby room」と書いてあります。
実際にお伺いした際も、旦那さんは原稿〆切前で(ごめんなさい)、
取材も掃除もするヒマはない!!なんて状態だったんですが、お部屋はきれいでした。
その秘密が、このパントリールームなんだそうです。

ご夫婦は、普段このスペースをウォークインクローゼットとして使用しているそうですが、
それでもかなりゆとりが残ります。
急にお客さんが来たときには、とにかくこの部屋に詰め込んでしまうんだそう。

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このスペースは、寝室とも繋がっていて、どちらからも出し入れが可能。
うん、これは便利そうですね。

こうした部屋がちょっとあるだけで、なんともすっきり住む事ができるんですね。
こうした設計上の気配り、ステキです!


左手のスダレカーテンの向こうがパントリールーム。

リノベーションの良さ:部屋を印象づけるつぎはぎの柱

ご主人と、リノベーションの良さについてもお話しました。
なんか、いいんですよね、リノベーションって。その理由ってなんだろう。

その一つは、古いものと新しいものがお互いに助け合って、
新しい価値を生み出すところにあります。
部屋の歴史がデザインと解け合っていると、深みがあって面白い。

このお部屋を見ると、真ん中の柱がとても印象的です。
それで、よく見ると柾目の板がツギハギしてある柱なんです。鉄骨造ですから!

「ツギハギ」することは、このことを良く示していて、たぶんデザインした人は、
「これは木造じゃないぞ!!」って言っているんじゃないか。

この建物は軽量鉄骨の歴史的な建物で、そのことをしっかり示すと、
こういうデザインになるんじゃないでしょうか。

見た目が良い上に、そういうささやかな主張のあるデザインもステキだなーと思いました。
昔はどんなふうな間取で、どんな風に使われてきたのかな〜とか、考えるのもいいですよね。


入居前に撮られた写真をいただきました。やっぱり柱が象徴的ですね。

インテリア計画のポイント:ミリ単位の実測と、リノベーションの雰囲気にあった家具

建築関係者であるご夫妻、そこで気になって聞いてみたのがインテリア計画。
どんな所にポイントがあるんでしょうか?
そんなお話をすると、面白いものを見せていただけました。
入居前の実測図と、インテリア計画です。

まず、実測についてはミリ単位で寸法を記録
無駄なくすっきりとまとめられています。


入居前の実測図。さすが建築のプロ!

インテリアは、ダイニングテーブルがポイントになっているそう。
このリノベーションの雰囲気に対して、新品のピカピカした家具は合いませんよね。
そこで実家にあった古い小テーブルを拝借。椅子はそれに合わせて新調したそう。

それから、ツギハギの柱やスダレなどの雰囲気には「紙」が似合うんじゃないか!
という閃きから、本棚やラグは無印良品の紙の家具と和紙の照明器具で統一。
とても部屋に合っていますよね。
図面で練った配置と、家具の色味がぴったりあったお部屋です。

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今回のお部屋は、建築のプロとあって、とてもシンプルで美しい部屋。
パントリーの便利さなど、プラン上の話から、インテリアに至るまで、
とても参考になりました。

個人的には、無印良品のパルプ棚を「紙」として考え、
和紙を合わせるとまとまることは、意外な発見でした。


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随時お知らせいたします。

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