リノベーション団地でほっとする暮らしをつくる。二人暮らしのワンルームインテリア
シェア畑やドッグランを備え、お部屋は可愛くリノベーションされ生まれ変わった団地。ワクワクの詰まった空間に楽しく暮らす、二人暮らしのワンルームを拝見しました。…
「いま、団地に暮らすってどんな感じなんだろう?」リアルに団地に暮らすひとびと、団地に関わるひとびとにお話を聞く連載「#団地の暮らし方」。
今回は、約20年前に団地を購入、セルフリノベーションして住んでいる「早すぎた団地マニア」BADONさん夫婦のお部屋におじゃましました。
text : Miha Tamura / photo : Takuya Kanai
「部屋の真ん中にお風呂がある」という話を噂で聞いて、一体どんな部屋なんだろう!? とドキドキしながら訪れた、団地マニアBADONさんの部屋。ドアを開けてみると、想像とは真逆の(失礼)、とても気持ちの良い空間が広がっていました。ガラス張りのお風呂を真ん中に持って来ることで、東西に窓がある団地ならではの間取りを最大限に活用。部屋のどこにいても、とても眺めの良い窓からの景色が楽しめます。
「部屋の中で一番ゆっくりできるのは、湯船につかってるときなんじゃないか、という発想があって。ここに湯船を持ってくれば、ちょうど空も見えるし、森も見える。あの森を見ながらお風呂入れたら最高だなと思って、各所に無茶を言って。どんな奇抜な部屋なんだろう?って思われるんだけど、みんな来ると意外に生活しやすそうじゃん、て言うんですよ」
20年前に購入した時点で、築30年弱だったこの団地。前に住んだ人が出て行った状態のまま、ボロボロの状態で売りに出されていました。これはすごくポテンシャルの高い部屋だ、と自らリノベーションに着手します。
床やタイル、ベッドなどの家具づくり、天井張り、壁のペンキ塗りなどは全部自分たちでしましたが、水回りの設計は、プロにお願いをすることに。こういう機会しか会えない、と建築雑誌を見て有名な建築家やデザイナーさんにも次々に会いに行きました。
当時、まだ日本ではリノベーションという言葉も一般的ではなく、古いものを改装してとことん住みやすくしたい、というBADONさんのこだわりは、万人に理解されるものではなかったそう。プロが書いてくれる図面に納得できないときは自分で設計図を書いてしまいました。そのプランを「これはおもしろい」と受け入れてくれたひとりの設計士さんと、何度も何度もやりとりを重ねたといいます。ただし工事は予算が尽きるところまで。あとは自分で仕上げる、という条件。まだ完成していない部分もあるんだとか。
「お風呂のタイルは途中で予算が尽きちゃった。でも、最近は仕上げを完璧にしないほうが格好良いっていう感じだし、あんまり気にならないです。時代が追いついちゃったな」
BADONさんは、趣味で団地好きや工場好きなどのマニアのためのTシャツや手ぬぐいなどを作り販売する、「マニアパレル」のデザイナーであり、店主。いまや、マニアの集うイベントではその姿を見ないことはないほどの存在ですが、意外にも、団地に住もうと決めたときには、もともと団地が好きだったわけではないといいます。
「結婚をきっかけに住まい探しをしていたとき、予算に合う部屋といったら、古いか狭いかしかなかった。でも、たくさん物件を見るなかで、古ければ古いほど好みに合うことを発見したんです」
「使っている素材とか、階段の階数表示とか、1970年代ぐらいの感じがすごく好きだった。タイルとか、床材とか、使われている素材が可愛くて。しかも、そういうもののほうが安くて手の届く価格にあって、これはいいと」(BADONさん)
そんなときに見かけたのが、前川國男が設計した阿佐ヶ谷住宅。この建物の感じがすごくいいな、と思って調べたら、公団の団地なんだ!というのがわかりました。今住んでいる団地は、同じく前川國男の設計した晴海高層アパートの間取りとすごく似ているんだそう。
「圧迫感がなくて、ワイドスパンで窓が大きい。団地って、立地や利便性もよいし、機能的なんだよね」(奥様)
もうすぐ築50年だというこの団地ですが、なにより都心の抜群の立地にあることもあり、共用部のスロープや、玄関ドアなど、細かいところは少しずつアップデートされ、いまも大切に使われています。
「古いままのほうがいいのに、て思ったけど、新しくなってみると、便利なんだよね」
古くて、狭いところに我慢して住むのではなくて、古いものの良さを活かしながらもとことん暮らし方にこだわる。そんなBADONさんたちの住まいを拝見して、どんどん団地住まいが羨ましくなってしまいました。
BADONさんのブログとTwitterアカウントはこちら!
http://blog.livedoor.jp/r2koba/
@BAD_ON
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