ホテル暮らしは「不在票知らず」でラク!ホテル生活1年生の私が住民票や、郵便物の疑問に答えます
「ホテル暮らし」という暮らし方が少しずつ広まってきていますが、まだまだハードルが高いのも事実。そこで現在ホテル暮らし中のgoodroomスタッフ、イワタリサが、ホテル暮らしのリアルを語る連載をスタート。第4回目は多くの方からご質問いただいた「住民票」のこと、「郵便物」の宛先や受け取り方について紹介します。…
ものを持たず、自由に好きな場所で住み、働く。月額6.98万円~で、ホテル暮らしを体験できる〈goodroom ホテルパス〉がスタートしました。この記事では、実際に施設へ宿泊し、「暮らし心地」をレビューしていきます。今回取り上げるのは東日本橋・馬喰町エリアに位置する〈CITAN〉。「自分たちが格好いいと思うもの」を詰め込んだホステルです。
text & photo : 渡辺平日
いまからおよそ400年前のこと。時の将軍、徳川家康は、江戸と各地を結ぶ5つの街道の整備に乗りだしました。後に「五街道」と呼ばれるその交通路の起点となったのが、日本橋です。
人と物、情報が集まるようになった日本橋は、経済・金融・文化の中枢を担う街へと発展。それから長い時間が流れましたが、今日でも、東京の玄関口としての役割を果たしています。
――去る2017年3月。「旅のはじまり」をコンセプトとするホステルが、東日本橋に誕生しました。名前はCITAN。複数の宿泊施設を運営する〈Backpackers’ Japan〉が手掛けるホステルで、開業以来、世界各国のゲストがこの場所を訪れています。
旅人たちを魅了してやまないCITANが、最近、〈goodroom ホテルパス〉の対象施設となりました。この記事では、実際に施設を利用し、その「暮らし心地」をレビューしていきます。
今回は特別に、ベテランスタッフの志真梓(しまあずさ)さんに、館内を案内していただくことになりました。志真さん、よろしくお願いします。
※この取材は2020年9月下旬に行ったものです
志真梓/1984年生まれ。千葉県船橋育ち。「旅」の魅力に取り憑かれ、世界中の国々を歩きまわる。ふと立ち止まって人生について考えたとき、「人と接する仕事がしたい」と思い、Backpackers’ Japanに入社。産休を経て、現在は4歳の娘を育てながら広報業務とフロント業務を兼任中。マイブームは七輪。
手始めにエントランスから見ていきましょう。天井が高く、窓も大きいため、開放的な空気が流れています。なんだか素敵な一日がはじまる予感がしますね。
志真さん:「CITAN」という名前は、「始端(シタン)」という言葉に由来しています。ここへ訪れる人が「新しいなにか」に出会える場所でありたい――そんな想いを込めてネーミングしました。
レセプションでは各種手続きのほか、おすすめのショップを尋ねたり、旅行プランの相談をしたりすることもできます。
志真さん:「彼女は洋服屋に詳しい」や「彼はカフェを知り尽くしている」というふうに、それぞれのスタッフが得意分野を持っています。なにか気になることがあったらどんどん質問してくださいね。
エントランスにはコーヒースタンド〈BERTH COFFEE〉が併設されています。ドリップコーヒーやアメリカーノのような定番メニューはもちろん、チョコレートミルクやチャイラテなど、さまざまなカフェメニューを楽しめます。
クッキーやパンオショコラなどフード類も充実。毎朝、違うメニューを頼みたいところです。
地下フロアにはシックなバーダイニングがあります。約50席の広々とした空間で、BGMに耳を澄ましたり、ナチュールワインを堪能したり……。そういうふうに過ごしていると、自然に気分が引き上げられていきます。
ノーチャージで利用できるのもポイント。いつでも気軽に立ち寄れます。ちなみに、このバーダイニングはコワーキングスペースも兼ねており、仕事をしている人もたくさんいました。
ワタナベメモ:天井が吹き抜けになっていて、地下とは思えないほどの開放感がありました。話によると、もともとは普通の地下スペースで、どう活用するかで迷っていたそうです。そんなとき、ビルオーナーから「吹き抜けにしましょう」と提案があり、この大胆な空間を構築することができたのだとか。
カフェやパティスリー、バーなどで修行を積んだキッチンスタッフが、CITANの「台所」を支えています。
人気メニューのチリソース&サワークリームを和えたフライドポテト。ついついお酒が進む味です。
スイーツメニューも充実しているので、お酒が苦手な方でも楽しく過ごせます。僕のおすすめはキャロットケーキ。ダイエット中で甘いものは控えているのですが、あまりにもおいしくて2個も食べてしまいました……。
志真さん:持ち込みはできませんが、近所にある〈BEAVER BREAD〉のパンはラウンジで飲食可能です。とってもおいしいし、とにかく素敵なお店なので、ぜひ遊びに行ってみてください。
しっかりとした個室があるのもCITANの特徴です。今回は人気の「キングダブルルーム」に宿泊しました。なんといっても目を惹くのは大きな窓。約4mの天井高も相まって、圧倒的な開放感を楽しめます。
志真さん :やはりこの窓が自慢ですね。嬉しいことにSNSでよく話題になっていて、「インスタグラムで知って予約しました」とおっしゃっていただくこともよくあります。
インダストリアルな雰囲気でまとめつつ、木の家具やインテリアを効果的に配置することで、バランスのとれた空間に仕上げています。
志真さん:近隣にある系列店の〈Nui.〉と比べると、シックで大人っぽいムードにまとまっていると思います。なぜそうなったかですか? うーん、私たちが歳をとったからかなあ。※Nui.の開業は2012年、CITANの開業は2017年
ワタナベメモ:ほんとうに素敵な空間なのですが、コンセントの場所がちょっとだけ気になりました。差込口の数自体は多いけど、ドア側に集中しているため、パソコンやタブレットを使うときは配置に苦労するかもしれません。長期滞在中には延長コードを持っていくのがよさそうです。
室内には洗面スペースを用意。ホステルって、水回りは共用スペースに集約されていることが多いので、これはありがたいですね。2~3泊ならともかく、1ヶ月も泊まるとなると、この違いはけっこう大きいと思います。
真鍮製の什器や小物類にもご注目を。蔵前を拠点に活動する〈ALLOY〉によるもので、空間の雰囲気をより特別なものにしています。
大きなベッドもALLOYが手掛けたもの。就寝前に枕元のライトを点けて、ゆっくり本を読んだり音楽を聴いたりしたのですが、なんとも言えない至福の時間となりました。
志真さん:キングダブルルーム限定のこだわりとして、ムーンスターのスリッパを用意しています。これはもう履き心地が最高で……。ゲストから「どこで買えるのか教えてほしい」とよく質問されます。
続いてサニタリーを見ていきましょう。シャワーとトイレは共用となっています。2階と4階と7階は女性専用、それ以外は男性専用と別れているため、気兼ねなく使用できます。
シャワーブースは24時間使用可能。ホテルに戻るのが遅くなっても安心です。なお、脱衣所はやや広めで快適でしたが、メガネや指輪などを置く場所がありませんでした。長期滞在時には小さいトレーを用意すると便利だと思います。
ワタナベメモ:土地柄もあってか、近所には銭湯がたくさんあります。ゆっくりと湯船に浸かりたいときはそちらを利用しましょう。
アメニティには〈OSAJI〉のアイテムを用意。香りが非常によく、手や体を洗うたびに幸せな気持ちになれます。肌に優しいのもポイントですね。連泊時には肌トラブルが起きやすくなりますが、そういうリスクはかなり軽減されそうです。
志真さん:(なぜOSAJIを導入したのかという質問に対して)スタッフのひとりが展示会でOSAJIを見つけてきたんですよ。「これ、アメニティに絶対いいですよ!」って。詳しく調べてみたら、東日本橋に拠点を構えてて、しかも、CITANとほぼ同じタイミングでブランドが誕生したと知って。そんな感じにいろいろな縁があって、置かせてもらうことになったんです。
ワタナベメモ:特にシャンプーの匂いのよさには驚きました。まるで植物園のなかにいるかのような、みずみずしい香りを楽しめます。仕事が行き詰まったときの気分転換にもよさそうです。
気分転換といえば、ゲスト専用のコモンルームにもご注目を。「部屋にこもりっぱなしは寂しい。でも、落ち着いた環境で仕事をしたい……」という場面で重宝しそうです。なお、キッチンコーナーも併設されていて、簡単な調理も可能となっています。
ワタナベメモ:コモンルームの近くにはコインランドリーも用意されています。長期滞在時にはなにかとお世話になりそうですね。
そうそう。息抜きしたいときは、レンタサイクルサービスも活用しましょう。近所には観光地がたくさんありますし、素敵な飲食店も多いので、目的地を決めずに「旅」に出てみる……というのもよさそうです。
志真さん:マンスリープランのゲスト限定で、レンタサイクルが半額で利用できるサービスを実施中です。ぜひ気軽にお声がけください。※サービスが終了している場合がございます。お気軽にお問い合わせくださいね
夜のエントランスの様子。穏やかな時間の流れを感じながら、その日あったことを振りかえってみるのはいかがでしょうか。
渡辺:CITANには何度か泊まっていますが、これまでに気づけなかった「小さなこだわり」をたくさん発見できて楽しかったです。最後に、マンスリープランを検討されている方たちへメッセージをお願いします。
志真さん:1ヶ月も同じホテルに泊まるのってめったに無いことですし、普段とは勝手が違うこともあると思います。なので、すこしでも困ったことがあればなんでも相談してほしいです。
「なぜ人と接する仕事をしたいと思ったのですか?」という質問に対し、「一人で海外に行ったときの経験が大きかった」と志真さんは教えてくれました。「知らない土地で『なんだか心細いな』と感じていたとき、泊まっていた宿のオーナーがものすごく親切にしてくれて……。人に優しくしてもらった分、ゲストにも優しく接したいなあといつも思っています」
渡辺:どのスタッフさんもほんと親切ですよね。しかも「べったり」という感じじゃなくて、絶妙に程よい距離感だなといつも思います。
志真さん:一人になりたいときは距離を取りますし、もし寂しければ話しかけます笑 CITANで過ごす間は、そんな「ちょうどいい距離感」を楽しんでもらえれば嬉しいです。
渡辺:どれだけ時代が変わっても、そういう気遣いというか、「人を思いやる気持ち」は大事なんだなと、そんな当たり前のことに改めて気付かされました。……志真さん、今日はありがとうございました。CITANで過ごす1ヶ月は、忘れられない時間になりそうですね。
渡辺平日
渡辺平日
日用品愛好者。常に異常な物欲と戦っています。町歩きやお部屋探しも好きで、ふと気がついたらグッドルームの取材ライターになっていました。主な寄稿先は「LaLa Begin」「北欧、暮らしの道具店」「PERFECT DAY」など。